「それじゃ、部活頑張って。」



俺の彼女である先輩は、俺をテニスコートの近くまで送り、そう言った。この後は、いつも図書室やらに行ってるらしい。そして、俺の部活が終わるのを待ってくれてる。
・・・そんなん、せんでいいです。
とは何度か言ったんやけど、その度に「そうしたいだけ」だというようなことを返され、結局はいつもこうなる。そう、いつも・・・そうやって寂しそうな笑顔をせなアカン羽目になんのに。



「お、ええなぁ。彼女に応援してもうて。」

「自分かて彼女居るくせに、変な絡みせんとってください。」



そう言いながらも、俺の機嫌は悪くなるどころか、ほんの少しだけ良くなっている。それは、自分の彼女の話をされたから・・・・・・・・・ではない。
俺は自分の彼女よりも、他の誰よりも、この人と居るときが1番落ち着ける。
そして、それは先輩も気付いているんやろう。そやから、そんな微妙な笑顔を作らなアカンねん・・・。
と、俺も先輩の気持ちには気付いてるけど、そんなことに構ってられるほど、俺は先輩のことを特別に想ってへんことは確か。それよりも、目の前の人と話を続ける方が俺にとっては重要やった。



「大体、先輩の場合は部活も一緒やないですか。」

「何やー、羨ましいんか〜?」

「そんなこと言うてません。鬱陶しい、言うてるんです。」

「相変わらず、ストレートやなぁ!」



俺の悪態を笑い飛ばせるんは、きっと俺と話すんが楽しいてしゃあない、とかそんな理由なんかやないってことはわかってる。それでも、笑ってる姿を見られるんは・・・・・・と思いかけたところに、ホンマの“理由”が来た。
そう、きっと、この人が居るから笑えるんやろう。この人との時間が幸せやから・・・。



「ホンマ、財前くんったら、容赦ないんやからー・・・。なぁ、謙也?」

の言う通りやわ。」



・・・ほら、やっぱり、笑顔がさっきよりも良くなってるやないですか。と、今度は俺も少し顔が曇る。



「あ、やんか!今日もやっぱり見て行かへんのー?」

「う、うん・・・。」

「遠慮なんかせんでええねんで?うちとの好やんか!何やったら、マネージャーの特権で1番近くで・・・。」

「ううん、大丈夫。ありがとう。」



それと同時に、先輩もまた複雑そうな表情をしている。きっと、先輩は部活の様子を長く見られへんのやろう。俺が楽しそうにこの人と部活しているから。

・・・こんな俺らのことをこの人らが知ったら、どんな風に思うんやろか。どんな返しが来るんやろか。ある意味試してみたい気はする。面白そうやから。
でも、それ以上に被害者ぶるんは嫌やし、この関係が壊れてしまうんも嫌やから、そんなことは絶対せぇへんけど。それに、どうせ信じてももらえへんやろうしな。俺が同性相手に、特別な感情を持ってるやなんて・・・・・・。

それに比べて・・・。

監督命令かなんか知らんけど、同性であろうと、常にイチャついてる先輩らを見て、思わず悪態を吐く。



「先輩ら、相変わらずキモイっスわ。」

「ちょっとー!何てこと言うんー?!」

「ホンマや!怒るでぇ?」



・・・ホンマに怒りたいんは、誰やと思ってるんですか。ホンマに納得いかへんのは・・・俺・・・・・・・・・と先輩の方なんや。













 

オフ友の「謙也さんのことが好きな財前くんと付き合いたい」という一言から始まった、この作品(笑)。オフ友以外の需要があるのか疑問ですが…まぁ、元々私の作品に対する需要なんて無いと思うので、今更気にしません!(無駄に断言/笑)
こんな物でも嬉しい感想をくれたオフ友には、この作品を捧げちゃいます!どうぞ、御自由にお取扱いください(笑)。あと、「謙也←財前」でいいのかな?「財前→謙也」の方がいいのかな?まぁ、また何かあったら、何でも言っちゃってー(笑)。

ちなみに、くだらない私的こだわりを紹介(苦笑)。
財前くんは誰でも「先輩」と呼んでるようなので、彼女のことは尚更名前で呼びません。むしろ、彼女だと言うことも間違っていると思ってるみたいです。そうして、自分で彼女との壁(距離)を作っていると思います。
あと、最後、彼女を心配しているように見えて、本当は「自分のついで」だと思います。もちろん「悪い」とは思ってるはずです。でも、「悲しむ方を選択したんは、自分やろ?」というような冷たい考えもあると思います。ただ、それは自分自身に対しても、同じように責めている気がします。
そんな感じでした。お付き合い、ありがとうございました!オフ友もありがとね!楽しかったです(笑)。

('09/10/15)